こんにちは。
ファッションアナリストの七理悠介です。
ショップでの試着って大切ですよね?
面倒かもしれないけれども、それを怠って購入してしまい失敗したこと、誰しも経験あるはずです。
そして、試着の際に悩むことも多いのではないでしょうか?
目次
ショップの鏡に何か細工がある?
以前、服選びを手伝ってほしいと人から頼まれ、同行したことがあります。
その試着時に、「この服素敵だけど、店の鏡がよく見えるように細工されているし」と言われ驚きました。
その方は冗談で言っているわけではなく、本気で言っている様子だったので、ちゃんとどういうことか説明して納得いただきましたが、それ以降、周りに話を聞いてみたら、同様に思い込んでいた方が意外に多かったです。
このように、ショップの鏡には「服が素敵に見えるように何か細工が施されている」「スタイルよく見えるように、気づかないくらいの歪みがある」などの都市伝説があったりします。
ですが結論から言うと、ショップの鏡にそんな細工は施されてはいないんです。
何故ショップの鏡だと良く見えるのか?
「細工がないとは言っても、実際に良く見えるじゃないか。ショップで見た時の感じと、家に帰って鏡を見た時の感じとでは全然違う」と思われるかもしれません。
そうなんです。そう言われる方の体験に基づいた感想通り、ショップの鏡は事実、家の鏡より良く見えます。
確かに良く見える理由があるけれど、鏡そのものには細工があるのではないわけです。
ではどこに違いがあるかと言うと、「鏡の大きさ・設置方法とライティング」が違います。
家庭用姿見を選ぶポイントは「大きさ」、「設置の仕方」も重要
まず、ショップにある鏡は、家庭ではまず無いようなとても大きなものですよね?
そんな大きなものでコーディネートを見ることが家では日常ないため、印象が全く異なってきます。
なので家庭にある姿見も「可能な限り大きなもの」を買ったほうが正しいイメージを掴みやすいです。
鏡を選ぶポイントは「高さ」も重要ですが、実は意外と「幅」も重要です。
家具屋にある人気のスリムな姿見などは横幅が狭いものが多いんですけれども、これが家だと実際のイメージが掴みにくい大きな原因になります。
スリムな鏡だと全身を映そうとかなり離れたところから立ったり、幅を気にして無意識に姿勢が不自然になったりします。
理想的なのは、ダンスレッスン用途として用いられるくらい「高さ」も「幅」もあるものです。
どの家庭にもよくあるスリムな鏡のものに比べると、大きなものはどれもそこそこ価格はしますが、姿見なんて滅多に買い換えるものではないですし、長い間毎日使うものと考えると、しっかりと初めに投資しておくほうが結局は満足度が高いものです。
そのほうが出かける前に、あれでもないこれでもないとコーディネートに悩む時間も減りますし、有意義ですよね。
それと、「鏡の置き方」も大事です。
だいたいの家にある鏡はまっすぐ置かれず、本体の足を広げて斜めに設置するタイプのものが多いですが、これだと本当に正面から見た時の印象とは異なります。
そのため、「なるべく正面を向くように鏡を設置する」ことがおすすめです。
照明は印象を変える魔法
もう1つ、ショップの鏡が良く見える大きなポイントになるのが「照明」です。
カメラが趣味の方は詳しいと思いますが、照明というのは、見た時の印象を変えるには絶大な効果を発揮します。
テレビでよくメイクやライティングを駆使して、その人本来の印象と全く異なって見える「奇跡の一枚」を撮る番組などがありますよね。
あれを想像してもらえると分かりやすいと思います。
他にも、特に若い女性が行う自撮りも同様です。
彼女たちは「自分が良く見える照明の当たり方」を知っているので、実際よりも「かなり盛った写真」が撮れるわけです。
それに、どんな方でも経験あると思うのが「洗面所での映り」です。
洗面所に写った自分が、何故か普段よりも良く見える気がしたことありませんか。
洗面所の照明は、だいたいどこの家も「昼白色」なので雰囲気あるように見えます。(しかも鏡も真正面に設置されているから、上半身だけなら姿見より良く見えますしね)
こういった原理がショップの試着室での照明に働いた結果、家で見た時の印象と違う感じに見えるんですね。
ショップの照明はシーリングライトで優しい色合い(昼白色が多い気がします)であるものが多いので、人や洋服が素敵に見えやすいです。
バーニーズニューヨークなど高級店舗では、試着室の重厚感がそれをさらに引き立たせるため、さらに素敵に見えるマジックがかかっていると言えます。
特にバーニーズニューヨークなんかは「お立ち台」もあるので、何か特別な雰囲気が出やすくもありますね。(もっとも、あれは店員さんが「裾上げをしやすくするためのもの」でもあると思いますが)
試着で冷静に判断するコツは試着室を出ること
以上のようなことから試着の際には、普段とは違う特別なマジックが働きます。
これらの要因を全て取り除くことは難しいですが、少しでも冷静に判断するコツはあります。
それは単純に「試着室を出ること」です。
試着室から出て、外にある他の鏡を見てみましょう。
ポイントは、「なるべく自然な明るさのある鏡の前に行くこと」です。
それだけで「照明の特別な力」が加わりにくくなりますし、雰囲気も違ったところなので、印象が違って見えます。
試着室を出ることには、もう1つ大きなメリットがあります。
閉鎖的な空間から出て時間を置いて見ることで、改めて冷静に判断ができることです。
一度少しでも冷却期間を置くことで、頭の中がクリアになるので、私はとにかく悩んだら試着室を出て歩きます。
そこで、試着室の外にある他の鏡を見て回るんです。
特に、普段着慣れないアイテムだと、「自分が見慣れていないので違和感を受けているだけ」という可能性も高いため、目が慣れるまで時間が必要な場合もあります。
試着室の外に出て、他のアイテムとの組み合わせを店員さんに聞いて、相性の良いアイテムを持ってきてもらうのもおすすめです。
もしかしたら、「これまで自分のワードローブにはない選択肢が見つかって、ファッションの幅を広げるチャンス」かもしれませんから。
経験豊富で接客が上手な良い店員さんだとそういったことを心得ているので、自ら「試着室の外に出て他の鏡でも見てみませんか?」と提案をしてくれます。
全身を見たほうが良いのは何も洋服だけではない
試着する際に大きな鏡で全身を見たほうが良いのは、何も洋服だけではありません。
「メガネやサングラスなどのアイウェア」も顔だけが映る小さな鏡ではなく、大きな鏡で見たほうが良いものです。
眼鏡専門店では着座して、テーブルの上に置いてある鏡を見て試着させられることが多いと思います。
全身の中では小さなパーツなので、そこまで重要ではないように感じて意外に思われるかもしれませんが、人に与える印象の最も大きい顔に加えるアイテムのため、部分だけでなく全体を意識したトータルバランスをちゃんと確認する必要があります。
なので、座って確認するのではなく、立ち上がって全身が映る大きな鏡でぜひ見てみてくださいね。
ちなみに、女性の場合はメイクも同じです。
タッチアップをする際、同様に座って小さな鏡で確認することがほとんどですが、一度大きな鏡で全体の印象を見てみてください。
顔だけ見ていると、自分では意外とカラーバランスって分からないものです。
特に気にしてもらいたいのが、顔色に対して首だけでなく、手や足との色味のバランス。
よくあるパターンが、やたら「顔だけコントラストがつきすぎて浮いて見える」ということ。
可能であれば、友達や家族など他の方を連れて確認してもらうのも有効な方法ですね。
実際のところ、コスメカウンターにいるBA(ビューティーアドバイザー)さんも、知識やスキルはマチマチだったりします。
もっと確実性を求めたい方は、たまに出勤されているプロメイクアップアーティストの方にタッチアップをお願いすると良いでしょう。
イベントなどでの日しかほぼいないので、次回の出勤日を聞いておくのが良いですね。予約制の場合も多いですし。(プロメイクアップアーティストの方って、男性が多いように感じるのは私だけでしょうか?)
その他にも「イヤリングやピアスなどの小物」もそうですので、必ず大きな鏡を見て印象の変わり方を確認してみてください。
試着が上手になるとファッションがより楽しくなる
試着が面倒で、なかなかしない方も多いですよね。
試着時の失敗によって、さらに試着をするのが億劫になってしまう、という悪循環も生まれがちです。
ですが、それをせずに購入すると良い結果となりにくいのも確かですので、しっかりと試着を行うことが重要です。
失敗が少なくなり試着が上手になると、どんどん新しいアイテムや価値観に触れることができるため、ファッションがより楽しくなる好循環になっていきます。
ポイントを押さえた試着を理解して実践し、これまで以上にアイテム選びが楽しめれば素敵ですよね。
ぜひ参考にしてみてくださいね!