ファッション分析・考察

「大量生産できるから数万円のブランドと同じクオリティ」は本当か?

2021年1月18日

こんにちは。

ファッションアナリストの七理悠介です。

 

今回は、ずっと記事にしたかった内容についてご紹介します。

 

「この製品は大量生産できるから、リーズナブルなのにブランド品と同じ生地を使用している。ブランドで販売すると○○円もしてしまうアイテムと同じクオリティ。だから高いだけのブランド品は要らなくて、安いこれで充分」といった主張をよく見かけますよね。

こういった趣旨のことを、一部のファッション指南者の方が発信されています。

そして、それを鵜呑みにしてしまい、信じてしまったというケースが多いのではないでしょうか。

しかし、あまり真に受けないほうが良い意見だと感じます。

というのも、半分正解で半分誤解と言えるからです。

 

「生産数量によって価格を下げられる」は本当

「リーズナブルな大量生産品がブランド品と同じクオリティを実現できる」派の意見の理由としては、「数を多く作るから、そのぶん価格を下げられる」というもの。

この理由自体は、的を射た内容です。

 

実際に、業界で通称「ミニマム」というものが存在しています。

つまり、生産側から「この価格で実現したいのであれば、少なくともこれだけの数量は発注してくださいね」という「最低限発注数量」というものです。

この発注数量が大きくなればなるほど、それだけ価格を抑えられるという仕組みについては、ファッション業界以外でもザラにあることですよね。

他の業界だったとしても、メーカー・卸・流通の仕組みを理解されている方であれば、すんなりと納得できる内容だと感じます。

 

とはいえ、だからこそ、「数万円相当のものが、”発注数を多くする”という理由だけで数千円になった(10分の1以下になることも)」ということについて、疑問を感じる方も少なくないのではないでしょうか。

正直なところ、「そんなディスカウントはありえない」と生産・流通に詳しい多くの方が思うはずです。

それゆえ、「圧倒的低価格が実現できているのは、それ以外にも理由がある」と普通なら考えますよね。

 

生産数量以外に低価格ということについて理由があるとしたら、それは当然その他の「コストカット」にかかってきます。

当然ながら、コストがかかっているものって、どんな業種のものであれ、違いは出てくるものです。

 

「ブランド品と同じ生地」だとしても、全く同じクオリティではない

「ブランド品と同じ」「○○円相当のものと同じクオリティ」といった主張は、なにをもって「同じ」と言っているのでしょう。

根拠としては、その多くが「ブランド品と同じ生地を使っている」というものです。

「同じ生地を使っているのだからブランド品と同等だ」と思ってしまう気持ちも、分からなくはありません。

けれども、よく考えてみてください。

仮に全く同じ生地を使用するとして、その理由だけで仕上がった完成品は同じなのでしょうか。

 

分かりやすく、他のジャンルでも考えてみてほしいです。

例えば、同じ食材を使えば「一流のシェフ」と同じ料理ができるのか。

もしくは、同じ楽器を使えば「プロミュージシャン」と同じ演奏ができるのか。

これらは全く違いはないのかと、少し考えてみれば分かることですよね。

 

しかしながら、実際はファッションに関してとなると、「違いが分からない」という方が少なからずいるのも事実です。

特にファッションに詳しくない方だと、簡単には伝わりにくいのかもしれません。

だから「ブランド品と同じだ」と言ってしまうのだと思います。

 

コストのかかったブランド品は、「縫製」「加工」「シルエット」「デザイン」「着心地」など、作り手の腕によって完成品のクオリティは異なってきます。

「そこにお金をかける価値があるのか」は人によって価値観が異なるため、様々な捉え方があるでしょう。

それでも、だからといって「ブランド品は、リーズナブルな製品に比べて高いだけ」というのは、本質を見抜けていない極端すぎる暴論です。

 

同じ生地でも「等級」が存在する場合もある

そもそも、「ブランド品と同じ生地を使っている」というのも、はたして本当に全く同じ生地なのでしょうか。

実は、同じ名称がついている生地でも、そこに「等級」が存在する場合もあります。

 

お米で例えると、同じ「コシヒカリ」という名称だったとしても、味や品質は様々ですよね。

産地や生産者などによって異なっています。

高いブランド米は、同じ品種だとしても「こだわり」があるゆえに美味しいものです。

 

ファッションについても同様で、コストがかかっている生地は、リーズナブルなものと同じ名称の生地だとしても、産地・生産者にまでこだわっていることもありクオリティが違います。

したがって、「○○という生地を使っているからブランド品と全く同じだ」と表面的に判断するのは避けたほうが良いですよね。

 

リーズナブルなものも、ブランド品も魅力を理解していきたい

「ブランド品と同じ生地を使用している」は本当だったとしても、それだけで製品価値が決まるわけではありません。

「大量生産できるから○○円のブランドと同じクオリティ」といった主張は、「ファッション指南者のポジショントーク」だとある程度捉えておいたほうが良いと私は考えます。

 

とはいえ、大量生産できることによるコスト低減というのは、企業努力のおかげですし、その事自体はとても素晴らしいことです。

ユニクロなどはスケールメリットを活かしたリーズナブルを実現しており、それは我々顧客にとって非常に嬉しいことだと感じます。

だからこそ私達大人は、そうした企業努力による恩恵を受けつつ、同時にブランド品の魅力も理解していきたいものですよね。

そうすることにより、ファッション業界がもっと発展し、それが私達の生活をより一層豊かにすることに繋がりますから。

 

ぜひ参考にしてみてくださいね!

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