こんにちは。
ファッションアナリストの七理悠介です。
前回、服を捨てることの大切さについてご紹介しました。
大量に持っている服を処分した後は、いよいよ新しい服を購入するのですが、この時に何も注意せず服を選ぶと、ワードローブの中は素敵に生まれ変わりません。
せっかく限られたお金と時間を使って服を買うのですから、素敵なものにしたいですよね。
今回は、そのために意識すべきポイントについてご紹介します。
目次
洋服選びが上手くないうちは「服の数を決めてしまう」のもおすすめ
本当に必要な服の量って、そもそも少ないですよね。
そこで、「ワードローブに加わる最低限の服のハンガーのみ残して、あとは捨ててしまう」というのもシンプルで分かりやすいのではないでしょうか。
そうすることによって、適当に服を選ぶことは自然とできなくなります。
集団スポーツでも、全員が「ベンチ入り」できるわけではありません。
監督は「選抜された優秀なメンバー」のみを集めてスタメンを決めますよね。
それと同じく、「ワードローブ入りできる服」だけを選ぶ必要があります。
当然、適当に選べば試合で良い結果が出ないように、適当に決めた服ではダメですよね。
そのため、自分が持つことのできる服の量を決めてしまうのが、洋服選びが上手ではないうちはおすすめです。
例えば、最初は以下の数量くらいを目安としてみてはどうでしょうか。
- アウター・・・5着前後
- トップス・・・10枚前後
- ボトムス・・・5本前後
- 靴・・・5足前後
「かなり少ないかも」「これで足りるのか不安」と感じるかもしれません。
しかし、これくらい数を絞れば「本当に必要な服」だけを買おうと必然的に考えられます。
そのうえで、「この服が自分のワードローブには必要だな」と思えたもののみ加えるようにすれば、「自分にとって使えるアイテム」ばかりになるはずです。
服を選ぶ理由が大事
服を選ぶ際には、「その服を買う理由」を自分に問いかけてみるのがおすすめです。
自分自身で理由を答えられない服は、はたして本当に必要なのか疑問ですよね。
「”その服を買う理由”のある買い物しかしてはいけない」と自分自身にルールを課すと、安易に不必要な服を購入することも無くなるのではないでしょうか。
購入理由についても、気をつけなくてはいけないポイントがあります。
間に合わせで選ぶのはNG
「あとでちゃんとしたものを購入するから、とりあえずこれにしよう」と、間に合わせで選ぶ服は購入すべきではありません。
その時点で面倒になってしまう方は、あとで再検討するはずがないので、間に合わせのままずっと過ごしてしまいます。
買い直すとしても、お金と時間がもったいないですよね。
値段が理由はNG
「コレ、値段が安かったから購入したんだけど全く着なかった」と、周りの人に話したことありませんか?
かなりの方が経験あることだと思います。
値段が安いということは一見すると魅力的に思えますが、値段以外理由を聞かれて答えられないのであれば、それはきっと着なくなる服です。
高い服であれば、「お金を無駄にしてはいけない」としっかり吟味するのに、安いものだと人は適当になりがち。
どんなに安いものでも、結局着なかったら意味がなくなります。
とはいえ、「安い服が悪い」と主張しているわけではありません。
欲しいと思えた服が、「たまたま値段が安かった」であれば、購入しても問題ないでしょう。
服に関して「コスパ」という言葉は誤用されやすい
「コスパが良い」といった内容で紹介されている服は多いですよね。
ですが、色んな方の紹介内容を見ても、どれも間違った言葉の使い方をしているものばかりに感じます。
実際は「リーズナブル」と意味が混同して使われていますよね。
そもそも、「ファッションにおけるコスパ」とは一体何なのでしょうか?
「そこそこの価格はするが、活躍する場面も多いし、長い期間使えるもの」だったとしても、本当にコスパを冷静に判断されているのでしょうか?
「いくら払ったか(コスト)」ばかりがフォーカスされて、はたしてそれが「使えるものなのか(パフォーマンス)」なんて、正しく理解して使われているのでしょうか?
例えば「5000円で購入した服」でも、あまり素敵に見えないし、ほとんど着ることなく何年もワードローブに入っているだけでは、コスパが良い服とは言えませんよね。
対して、「3万円で購入した服」が、自分が着ると素敵に見えるし、お気に入りで頻繁に着用していたとしてもコスパは悪いのでしょうか?
前者を5回着たとして、1回当たりの金額は「1000円」。
後者を50回着たとして、1回当たりの金額は「600円」。
どちらが「本当の意味でのコスパが良い服」なのかは一目瞭然ですよね。
つまり、ファッションにおけるコスパとは、安いものを長年持っていることではなく、どれだけ素敵に見えて、それを何回着たかによって判断されるべきです。
最近よく言われる「迷う理由が値段なら買え、買う理由が値段ならやめとけ」という言葉は、ファッションにおいても当てはまるのではないかと思います。
つい安易に買ってしまう服も、10回買えば結構な金額になります。
それを自制心でやめて、浮いたお金で自分が本当に素敵に見える1着だけを買いたいものですね。
「一生モノ」という言葉に惑わされない
「一生モノ」という言葉に釣られて買ったものにも注意です。
確かに、「一生モノ」といったアイテムも存在します。
しかし、それは「購入時に決まる」ものではなく、長年所有していて「気がついたら一生モノだった」というものだと私には思えてなりません。
最初は一生使うつもりのものでも、すぐに使わなくなってしまうのであれば賢い買い物とは言えませんよね。
それに、昔とは違い現代では「一生モノ」と呼べるものは少なくなっていると感じるので、そういった考えで服を買うのは控えたほうが良いのかもしれません。
第一、自分の好みもずっと同じでいるとは限りません。
時代によって感性も変わってくるでしょうから、未来の自分の服は、未来の自分自身に選んでもらったほうが良いのではないでしょうか。
だからこそ、「これは一生モノだから購入すべき」と他人に言われたから購入するのではなく、単純に「この服はとても素敵だな」と思える「自分の感性」を大切にして購入動機にすべきだと感じます。
「着ていて自分自身が気分の上がる服」というのが重要ですから。
定番的な「クラシックな服」をまずは揃えるのがおすすめ
矛盾したことをいうようですが、「ずっと愛用できる服」という観点で洋服選びを行うことは、とても重要なことだと個人的には考えています。
私は洋服を「使い捨て」として捉えるのは好きではありません。
トレンド感が強すぎるようなものは別として、「定番的な服」をきちんと選べば、長い間愛用することができますから。
だからこそ、一部のファッション指南者が主張されているような、「洋服は数年で買い換えるべき」といった内容は、あまり真に受けないほうが良いのではないでしょうか。
ここでいう「定番的な服」とは、つまり「クラシックな服」などを指します。
昔からずっと定番とされてきて、流行の影響を受けずに着用できる服のことです。
ファッションの世界ではそういったアイテムがあるので、それらを優先してワードローブに加えていくのがおすすめです。
服は着られて初めてその人に力を貸してくれる
「服を買う」という行為そのものが目的ではなく、「素敵な着こなしをする」「おしゃれになる」という目的を忘れないことが大切です。
手段が目的となってしまうと、せっかくお金と時間をかけたのに、「自分が素敵に見える新しい服を購入する」という本当の目的が果たされません。
コートなどを「ほとんど着ないから、何年たってもワードローブでずっと綺麗なままで、私は物持ちが良い」と得意げに話している方、周りにいますよね?
ファッションの目的を考えると、それが本当に自慢できることなのか、ちょっと考えてみればすぐに分かることです。
ルイ・ヴィトンのコレクションを担当したこともある、ファッションデザイナーのマーク・ジェイコブスの言葉で、「誰かが着てこそ、その服に価値が生まれる」という名言があります。
非常に共感できる考えですよね。
以上、服を選ぶ時のポイントについてご紹介しました。
その他のポイントについても、また改めてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね!