こんにちは。
ファッションアナリストの七理悠介です。
前回・前々回とスーツスタイルにおけるオーダーメイドについてご紹介しました。
オーダーメイドについて理解が深まったところで、実際に作ってみようと考えた場合、どういったことに注意してオーダーをすればいいのでしょうか?
目次
ドレスシャツのオーダーのポイント
オーダーの具体的なポイントについて詳しくご紹介します。
今回は、前回の記事でおすすめした麻布テーラーでのオーダーを例にしています。
ですが、他のお店でも「オーダー時のポイントはどこも基本的には同じ」です。
また、「既成品」を選ぶ際にも、これらのポイントを押さえたアイテムをぜひ選んでみて欲しいですね。
スーツについては今回は割愛し、ドレスシャツに絞ります。
まず、「お店の店員さんはプロなので、基本的に全ておまかせで問題ない」と言われている方もいますが、私はこれには反対です。
以前、実験のために、全く同じ要望で麻布テーラーの2つの店舗に数日違いでオーダーを出してみたことがあります。
その際、それぞれの店員さんが全く違う意見を言われていました。(中には正反対の意見も)
しかも、そのうち片方は「(他店舗でおすすめされた)○○のような説明をする人、中にはいますがおすすめできません。何故なら…」と、理由つきで説明をしてくれました。
その内容は、他の店員さんから説明を受けた際に「本当にそうだろうか?」と私が普段から感じていた疑問と全くの同意見だったので、とても納得のいくものでした。
やはりどのショップであっても「店員さんの知識やスキルのレベルは様々」です。全ての店員さんが同一レベルで素晴らしいなんて経験、私はしたことがありません。
だからこそ、店員さんに全ておまかせにするのではなく、面倒かもしれませんが「下調べして予備知識を入れて準備しておく」ことが重要です。
しかし、経験のない方にいきなりそれは高難易度なはずですし、偏った思い込みが生じる場合もあります。
そこで、ポイントを押さえたオーダーの仕方についてご紹介していきます。
カジュアルとは違って遵守すべき大切なことが多く、細かい説明まで入れるとかなり長くなってしまうので、「本当に重要なポイント」のみ記載します。
生地
ドレスシャツで生地のおすすめは、「ホワイト」「ライトブルー」「ネイビーストライプ」の3つです。
正確に言うと、これら3つ以外の生地は「着こなしにおいて(何か明確な)自己表現をしたい」場合以外で選ぶべきではありません。
ほとんどの方がホワイトシャツは着ていると思います。
けれども、私が特におすすめしたいシャツは「ライトブルー」のものです。
最も大きな理由は、「多くの日本人の肌の色に比較的合う」からです。
西洋人の肌は白くピンクがかっていますが、多くの日本人はモンゴロイドが「黄色人種」と訳される通り肌が黄味がかっています。
黄色に白よりも、黄色にブルーのほうが色合わせ的に良く、「見た目の引き締め効果」があります。
さらに、柄シャツが許されないようなお堅い業種の方でも取り入れることができる、万人が使えるシャツというのも再現性が高くて良いですね。
麻布テーラーのラインナップの中では、「カジュアル生地」「フォーマル生地」その2つの中間の「ビジネス生地」の3分類がされています。
一見、フォーマル生地がドレッシーに感じて良さげに見えるかもしれません。しかし、フォーマル生地はその名の通り「正装向け」のものなので、ビジネスシーンには格式張った印象過ぎて似つかわしくないため注意が必要です。
カジュアルとフォーマルの中間の「ビジネス生地」が、ビジネスシーンではやはり使いやすいのでおすすめします。
特におすすめなのは、「ロイヤルオックスフォード生地」が素敵なので積極的に試してみてもらいたいです。
取り扱いしやすいものがお好みの方は、「形態安定加工」がされたシャツを選ぶといいですね。(麻布テーラーでは「ワールドトラベラー」のタグがつくものが該当し、若干高くなります)
生地の柔軟性
生地のデザインを選ぶ以外にも生地の柔軟性も選べます。
ここを気にしない、もしくは迷う方がいるかと思うのですが、意外と体感が変わります。
もしかしたら店員さんによっては「生地が硬めのほうがパリッとしていて綺麗に見えるのでおすすめです」と言われるかもしれません。
しかし、私は「柔らかめの生地」をおすすめします。
硬めと柔らかめ、どちらもオーダーしたことがある結果、見た目については分かるレベルではありません。(少なくとも私にはパッと見て差異を感じられませんでした)
見た目よりも変わってくるのが「着心地」です。
硬めの生地だと着心地が若干悪くなります。
それに対して、柔らかめの生地のほうが着心地が良くなるためおすすめです。
ボディースタイル
いくつかの選択肢があり、おすすめは「ジェットクルーズ」です。
細身で体に沿うようなシルエットですのでスタイルよく見えます。
体型的にもっとゆとりを求めたい方は、「コンチネンタル」「クラシコイタリア」を検討してみるといいですね。
スタイリッシュな見た目にしたい方は、背中に「ダーツ入り」の仕立てにしてもらうと良いのではないでしょうか。
カラー
いわゆる「襟型」で、この部分はかなり重要です。
スーツスタイルにおける「Vゾーン」は、シルエットと並んで最重要ポイントの1つですので、ここで印象が大きく異なってきます。
おすすめは、「ワイドカラー」です。
迷ったらワイドカラーにしておくと間違いありません。
ちなみに「レギュラー」という名称の襟型もあり、その名からか「1番正当な襟型」といった勘違いを多くの日本人はして選ぶ傾向にあります。
ところが、ビジネスシーンにおいてこれは誤りです。(特に年配の方に多いですね)
さらに印象強くするため、差別化を求める方に個人的におすすめなのは「タブカラー」「ホリゾンタルワイド」です。(ネクタイを外すことが多い方はタブカラーは避けたほうが良いかもしれません。ノーネクタイだと、だらしなく見えてしまいます)
どちらもVゾーンを素敵に見せて演出してくれます。
クールビズでは「スタンダードワイド」「カッタウェイ」が良いですね。
ネクタイを外した場合でも素敵に見えます。
もし、ネクタイをつけることのない方でしたら「ボタンダウン」もおすすめです。
カフ
袖口の部分です。
ビジネスシーンで使う場合のおすすめは「小丸」か「角落」です。
ベーシックで使いやすい形なのは「小丸」になります。
「角落」はエレガントな印象で品良く見えます。
そして、「袖口に付けるボタンは1つのみ」にして欲しいです。
それ以外の選択肢はないと考えてもらって大丈夫だと感じます。
既成品のシャツにボタンが2つ付いているのは、「様々な体型の人に合わせるためのコストダウン」が目的です。
そのため、ちゃんとその人の体型に合ったシャツであればボタンは1つであるべきですね。
さらに付け加えると、袖口の広さは左右で差をつけることを検討してみても良いかもしれません。
理由は、時計をつける手のほうには、時計が入る分の余裕を持たせるためです。
オーダーしたシャツは基本的に袖周りもピッタリと仕上がってきます。
そこに時計を巻くスペースはないので、それを考慮したサイズに微調整しなくてはいけません。
そこで大切なのが、ドレスシャツをオーダーする際には、普段ビジネスで使用している時計を付けていくということです。
ショートスリーブ
クールビズなどで半袖シャツを着られる方は、ぜひ袖の仕上げにもこだわってみて欲しいです。
いくつかの種類がありますが、「ターンバック」がおすすめになります。
半袖シャツについてのその他のポイントについては、以前にもご紹介しておりますので、そちらもぜひ参考にしてみてもらいたいです。
特に「袖丈」と「袖周りの長さ」はかなり重要となります。
ポケット
胸ポケットについて、これは「無し」を選択するのがいいでしょう。
それだけでさらに洗練された印象となるため、スーツスタイルに合わせるのであればおすすめです。
もし、どうしても仕事の都合でポケット付きでなくてはいけない場合は、「カフに合わせて選択」するのが良いのではないでしょうか。
例えば、「カフが角落ちであれば、ポケットも角落」といった感じで合わせて選ぶのが統一感が出て洗練されて見えます。
前立て
前立ては「裏前立て」がおすすめです。
チラッと見えた時に印象が変わるので、ここにも気を配りたいところですね。
ボタン
ボタンは小さくても意外と目立ちます。
たくさんの種類がありますが、「貝ボタン」が素敵に見えます。(プラス500円ほどかかります)
通常のボタンであれば、色は基本的に「アイボリー」がおすすめです。
もし、ボタンの色が悪目立ちしないシャツであれば「ホワイト」を選んでも大丈夫だと感じます。
細部にまで気を配ったドレスシャツで洗練された着こなしを実現しよう
細かいウンチクや説明は可能な限り省いて、ドレスシャツのオーダーの仕方・選び方についてご紹介しました。
これらのポイントを押さえたシャツ選びができるようになると、スーツスタイルが洗練された着こなしとなり、周りの人へ与える印象も変化してきます。
仕立てたものを身に纏ってみるとオーダーメイドの良さが実感できるので、経験のない方も一度は試してみて欲しいです。
ぜひ参考にしてみてくださいね!