ファッション分析・考察

ユナイテッドアローズのZOZOとの提携解除は顧客にどんな影響があるのか?

2019年2月24日

こんにちは。

ファッションアナリストの七理悠介です。

 

最近、ブランドのZOZO離脱・撤退のニュースがアパレル業界を騒がせています。

そんな中、ユナイテッドアローズがZOZOとの提携解除を発表しました。

業界や企業目線での分析・考察はたくさんの方がされていますが、一般の人にとって重要な「顧客への影響」はどうなるのでしょうか?

 

そもそも各ブランド撤退とは関係なく、ZOZOTOWNからの撤退ではない

アローズの提携解除について、各ブランドのZOZOからの撤退が続いていることと今回のケースを混同しているような内容も見受けられますが、実際は全く別の話です。かなり前から既に決まっていた話ですので。

 

エディフィスなどを擁するベイクルーズグループに比べて、ユナイテッドアローズはEC売上・EC売上構成比ともに格段に低いです。

そのためECへのテコ入れを現アローズ代表取締役社長である竹田光広さんは以前から打ち出していました。

その流れからすると、満を持して動き出したような意図を感じますね。

 

そんな自社ECの強化が急務だったアローズにとって必然のことであるように感じます。

ざっとシミュレーションしてみましたけれども、当面マイナスもありますが損益分岐点を考えるとプラスに転じるのもおそらく早く、自社運営に方針転換したのは正解なのではないでしょうか?

 

さらに、同様に誤った憶測もありますが、ZOZOTOWNへの出店をやめるわけではありません。

アローズが提携解除をするのは「ZOZO」であり、「ZOZOTOWN」から撤退するわけではありません。

現に新作もZOZOTOWNでのリリースがされていますしね。

おそらく誤解を生む原因になっているであろう1つの理由は、ZOZOTOWNに載せられていないアイテムの存在もあるのではないかと推測します。

 

しかし、これについても撤退の兆しとは無関係です。ブランドやショップ側からの意図でオンラインへの出品が禁止されているアイテムがあるからです。

そうしたアイテムは店舗のみの販売が指定されているため、ECサイトにラインナップとして載ることはありません。

よく見てみてください、ZOZOTOWNへ載っていないアイテムはアローズの自社ECサイトでも同様のはずです。(だからこそネットだけではなく店舗にもなるべく足を運んだほうがいいですね!)

 

しかし、ここまで言っておいてですが、いずれZOZOTOWNへの出店もどうなるか微妙なところだと感じます。

今後各ショップのカラーが打ち出されたEC運営は加速していく一方でしょうし、それがセレクトショップであればなおさら重要なはずです。

 

竹田氏が打ち出す改革の先にある未来とは

アローズ社長の竹田さんは、元々総合商社出身でアパレル畑の方ではないので、そのことで「ファッションのことが分からないのに」と社内外から揶揄されることもあるようです。

しかし、当の本人は「確かに私はファッションのことについて詳しくありませんが、それが何か?」といった姿勢らしく、潔くて好感を抱きます。

これについては、アローズ名誉会長の重松さんがカリスマすぎることも要因だと思います。実際に古いスタッフからはいまだに神のような扱いみたいですし。(永年勤続表彰は竹田さんではなく、重松さんがわざわざ出向いて執り行うくらい別格の存在です)

 

畑違いの外様であるにも関わらず、見事に成果を上げた人物と言えば、資生堂の代表取締役社長である魚谷雅彦さんを連想します。

魚谷さんは他業種では実績があったけれども、化粧品業界は全くの未経験だったため、当初は「化粧品のことを知らない素人」と否定的な意見が多数でした。(それは魚谷さんも承知の上で、「化粧品会社の社長の見た目が整っていないわけにはいかない」と徹底したスキンケアを行い、また、腹筋などで肉体改造を毎日欠かさず行なっていたそうです。個人的にも、とても好きな経営者の1人です)

それにも関わらず、魚谷さんのプロフェッショナルな指揮のもと、資生堂は目標の売上高を大幅な前倒しで達成し、周囲の分析・予測を裏切る素晴らしい業績を残しました。

その結果、見事過去最高益を出して株価の急騰にもつながり、魚谷さんの経営手腕が間違っていなかったことを裏付けています。

 

当時、外様社長がそれを実現すると誰が予測できたでしょう?

外からもたらされた新しい考えや価値観などは決してマイナスではありません。(もちろん新しい考え全てが盲目的に受け入れられるものばかりではないでしょうが。それは大塚家具を見れば明らかです)

そう考えると、畑は違えど同じく外様の竹田さんもアローズで結果を出し、周囲の逆風を乗り越える実績をこれからも積み上げて欲しいですね。

 

顧客への影響

さて、肝心の顧客への影響はどうなるのでしょうか。

色々と変化がある中で、特に大きな影響は2つあります。

 

  1. ECサイト購入時の配送の利便性向上。
  2. ECサイトのデータ活用。

 

ECサイト購入時の配送の利便性向上

これまでZOZOとの共同管理だった在庫がアローズ自社になるため、ECサイトでの購入時に発送がダイレクトとなり、スピードを上げることを目標にしています。

現状オンラインから購入すると結構日数がかかってしまいますよね。これが早くなるのは嬉しい限りです。

さらに、配送方法の選択肢も増えます。

配送場所が自宅だけではなく、顧客にとって都合の良い場所へ指定することが出来るようになります。

例えば、「受け取るのに都合が良い自宅から最寄りのコンビニに配送」ということも可能です。

 

そして、あまり知られていないことですが、現行のシステムでもZOZOTOWNや自社ECサイトへ在庫があるものを店舗へ引っ張ってくることが実は可能なんです。(Amazonや楽天は別在庫なので出来ません)

これを利用することによって店舗で在庫切れになったアイテムでも、実際に試着して着用感を確かめた上で購入することができるため、覚えておくと便利です。

このシステム、ZOZOTOWNの担当部署へ連絡してから在庫確保するんですけれども、これがとにかく時間かかります。(だいたい朝連絡して確保されるのがその日の夜とかになります)

これが自社運営になると圧倒的に改善されるでしょうから、よくECサイトをチェックしている方にとってはメリットが高まるはずです。

 

ECサイトのデータ活用。

この点も大きな影響ではないでしょうか。

 

アローズの売上構成比は、女性と男性で65対35くらいになっています。

女性はオンラインで満遍なくアイテムをチェックしていく傾向にあるのですが、男性はオンラインで特定のアイテムのみをチェックし、それを実際に購入する傾向にあります。(男女の性格の違いが表れる結果ですよね)

ECサイト上で顧客が、どのアイテムをクリックしたか・何回クリックしたかをアローズは把握しています。

このことを踏まえ、オンラインのデータ活用をさらに取り入れた改革も行われます。

それは、オンライン上でのリコメンドだけでなく、店舗での提案に反映されてくるはずです。

 

多くの方が思っている以上に、アローズの店員さんは優秀だと私は日々感じています。

ところが、そんな店員さんもエスパーではないので、それぞれの顧客が「どんなアイテムを探しているのか」ニーズが分からないことには提案しようがありません。

まだまだ店員さんへ自分の背景を伝えることが苦手な方が多いと感じる中、このデータのフィードバックによって個人個人の好みや傾向が分かり提案力向上につながるはずです。

 

ECサイトのリニューアルの予定時期は正式には決まっていない

アローズECサイトのリニューアルの予定時期は正式には決まっていないようです。

勘違いされている方もいますが、そもそもECサイト自体は現状でも自前のものですし、ZOZOとの関係性に左右されるものではありません。

しかしながら、これに関しては一部使いにくい部分もあるため、個人的には早くリニューアルして欲しいですね。

特に、ページの読み込みが他ショップより遅い気がします。

 

【追記】

とうとう正式なリニューアルに動き出しました。(どの程度のリニューアルかは現時点では不明ですが)

かなり高度なシステムを組んだものが準備されているので楽しみです。

 

オンライン限定割引は減る?

アローズのオンライン限定割引、去年は特に多かったですよね。

これについてはアローズ自体も問題視しているようで、今後は見直しが行われるはずです。(少なくとも減っていくと思います)

オンラインのみに頼った顧客にはデメリットかもしれませんね。

個人的には別な意図もあるので、多すぎるオンラインセールはいかがなものかと感じていました。

 

アローズは、より一層大人にとって頼れるショップに今後なる

アローズとZOZOとの関係性について様々なことが発信されています。

そんな中、顧客目線での内容についてはどこも言及されていなかったので、そこに焦点を当ててご紹介しました。

アローズには、今後も普通の大人にとって頼れるショップであり続けていって欲しいですね。

一般の人には知られていない「アローズの活用法」は以前記事にしているので、そちらもご覧ください。

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ぜひ参考にしてみてくださいね!

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