ファッション分析・考察

ユナイテッドアローズのECサイトがリニューアル延期になった背景について

こんにちは。

ファッションアナリストの七理悠介です。

 

最近、仕事が立て込んでいたり、当ブログに読者だけではなく企業の方からのお問い合わせが続いていたりで、多忙を極めていました。(こんな私のブログに関心を持っていただいて大変光栄です)

そんな中、しっかりとショップのリサーチは行なっており、新作を中心に膨大な量のアイテムをチェックしていた日々です。

この過程で、非常に不便で困ったショップがユナイテッドアローズ

多くの方がご存知のように、サイトリニューアルのために9月からECサイトをクローズして見られなくなっていました。

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そのため、オンラインでアイテムを事前にチェックすることが出来ず、毎回店舗に行って社内ルックで確認する必要があったんですよね。

クローズしていたサイトの再開時期は当初「10月」を予定。

しかし、状況が一変して、リニューアルを延期し、これまでの既存のシステム「11月27日」にサイト再開を行うこととなりました。

 

リニューアル延期は「システム開発の遅延」が原因

アローズが発表している内容としては、「システム開発の遅延により、リニューアルを延期する」となっています。

実は、かなり早い段階で「リニューアルを10月に間に合わせるのは、どう考えても無理があり、延期は間違いないはずです」と聞いていました。

ですが、まさかリニューアルそのものが見合わせになるとは、その時は思いも寄らなかったですね。

 

開発のどこに問題があったのか、どうして土壇場で延期になってしまったのか、これは「サイト全体の連携についての確認不足」が大きな問題だったのだと思います。

というのも、サイト内それぞれの箇所の開発はされていても、サイト全体での連動性、特に実店舗等との連携に問題があったようです。

これまでのようなECサイトのみで完結するものではなく、実店舗との連携を目指して開発された新システムであっただけに、ここが実現できないのでは本末転倒となってしまいます。

 

新たな経営理念の実現のためには、体質改善が必須

ECサイトの重要性を認識し、経営の中でも大切なファクターとして取り組んでいく予定だったアローズ。

このことは、今年7年ぶりに改定されたユナイテッドアローズグループの経営理念にも読み取れます。

旧社是である「店はお客様のためにある」から、新しく「すべてはお客様のためにある」に表現を変えたんですよね。

ここに、店舗だけではなく、ECサイトも顧客との重要な接点であるとの意思が感じられます。

 

理念の実現のために取り組んできたものを、想定していたレベルにまで完成させられなかったことで、「このままでは世に出せない」との判断だったはずです。

全体図を把握した上で進捗状況を確認できていなかったのは、非常に残念でなりません。

 

急なリニューアル延期、このこと自体も問題です。

しかし、「責任はどこにあるのか?」を未だにアローズ側が理解していない点こそが、本質的には今回の事態を招いた最大の問題であるように個人的には感じます。

これからの企業経営に関しては、ここがウィークポイントとなっていかないような体質改善が求められていくはずです。

 

ECサイト再開が11月27日にまで伸びた理由

今回のアローズECサイトのリニューアル延期の発表を受けて、おそらく多くの方が「何故、元に戻すだけなのに11月27日までかかるんだ!」と感じたのではないでしょうか。

確かに、新システムがダメだったのなら、これまで使っていた旧システムに戻すだけなのに、どうしてこんなに時間がかかるのか疑問に思いますよね。

 

これについては、従来のアローズECサイトを委託していたZOZOの子会社「アラタナ」へ再委託する際に、体制を整えるまでの期間が必要だったと対外的には発表されています。

話せる限りの詳細を言うと、元々アラタナでアローズの担当をしていたスタッフの方は、かなりの人員がいました。(一般的には知られていませんが、業務全体で100名を超える大量の人員が確保されていたんです)

このスタッフの方たちに対し、「プロジェクトは終了だから解散」と伝えバラバラになっていた状況に、「やっぱり戻ってきてくれ」と声をかけて体制を再構築しているんです。

ここには、オンラインサイトのエンジニア等のソフト面だけではなく、物流・倉庫関係のハード面も必要となります。

だから、単純に「すぐに元に戻せるでしょ」という安易な話ではないんですよね。

 

そもそも論でいうと、かなり虫のいい話をアローズはしていますし、一般的な企業の感覚ではアラタナが怒っても仕方ないような内容です。

ちなみに、今回の再契約にあたり、以前の契約内容とは全く違うものになっています。

これは、既に自社開発が終了している部分と、そうではない部分があるためで、開発未完の部分をアラタナにお願いするような契約内容となっているからです。

 

再契約料に関しては、内容が内容なだけに「かなり高額な請求をされていそう」と思うところですよね。

だけど、実際は「非常に良心的な契約内容」で引き受けてもらえたそうで、アラタナの懐の深さが感じられます。(これについてはアローズ側も非常に感謝しています)

 

今後も開発は継続し、時期を見てリニューアルを行う予定

アローズは今回の騒動でリニューアルを一度は見送る形になったわけですけれども、当然計画そのものが頓挫したわけではありません。

既に開発が終了した部分もありますし、プロジェクトは継続しています。

今後、全ての条件が揃った段階で再度リニューアルを行う予定です。

具体的なリニューアル時期については未定と発表されているんですけれども、来年の春ぐらいを目処にしているのではないかと予想しています。

 

今年の10月に創業30周年を迎え、グループ従業員数は5,000人を超える大規模な企業集団となったアローズ。

その方たち全ての力を合わせ、文字通り「束ねた矢」となって次世代の新しいセレクトショップの姿を見せられるのか。

そして、我々顧客に対し、新しい価値観の創造が実現できるのか、今後の動向に注目です。

 

ぜひ参考にしてみてくださいね!

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