こんにちは。
ファッションアナリストの七理悠介です。
6月に入り、街を歩くビジネスマンにも半袖姿が増えてきました。
暑い日本の夏には半袖シャツは欠かせないアイテムなので、このことは至って自然なことだと感じます。
ところが、世の中には「半袖シャツはダサいから着てはいけない。長袖シャツを腕まくりするべき」という指南をされている方もいますよね。
しかし、それは極論に走った意見であり誤解です。
そうした内容は「半袖シャツで洗練された着こなし」を知らない方の意見なので、私は真に受ける必要はないと思います。
とはいえ、確かに何も考えずに着こなしている半袖姿のビジネスマンが素敵に見えないことも事実です。
以前クールビズの基本的なシャツの着こなしについて記事を書きました。
今回は「クールビズにおける半袖シャツの着こなし方」についてさらに掘り下げてご紹介します。
目次
普段とは違う「ジャケットを着用しないスタイル」を意識する
まず、全身で身につけるアイテムが少なくなるクールビズでは、1点1点のアイテムをしっかりと吟味することが他の季節に比べて特に重要です。
その上で、人に与える印象の大きい上半身は、「ジャケットを着用しない」ということを意識してコーディネートを考えなくてはいけません。
つまり、スーツスタイルであれば「ジャケットの力を借りて、色々とごまかせる」はずのものを、クールビズでは「ジャケット無しでいかに素敵に見せるか」がカギとなってきます。
そのため、ジャケットが持つ役割を半袖シャツで補完しなくてはならないわけですね。
色々なアプローチ方法があるのですが、今回は「誰でも簡単に取り入れることが可能な再現性の高い方法」をご紹介します。
「普段通りのスーツスタイルを崩さない」は鵜呑みにしない
クールビズについて、一部のファッション指南者が「普段通りのスーツスタイルをなるべく崩さないことが正解」と主張している意見について、私は反対です。
こうした意見は「クールビズなどのビジネスカジュアルにまだまだ不慣れな方が抱く考え」で、むしろ真逆なのではないでしょうか?
あくまで「クールビズ」の着こなしが求められるのであって「スーツスタイル」のそれとは違います。
「スーツスタイル」ではない「ビジネスカジュアル」においては、普段通りの着こなしを崩さないようにしていると「全身がいくらかはドレスダウンしているのに、普段通りのスタイルをしている部分が浮いて見え、カッチリしすぎていてチグハグな印象」になってしまいがちです。
だからこそ、1つ1つのアイテムが浮いて見えることなく、コーディネート全体の雰囲気がマッチしているように気を配った着こなしが必要でしょう。
クールビズでは柄シャツを活用するのがおすすめ
ジャケット無しで着こなしを素敵に見せるためには、柄シャツを使うことが簡単な方法です。
ジャケットを着用できないということは、「レイヤードが出来ない」状態なので、シャツ単体で間延びした印象にならないようにしてあげなくてはいけません。
少しエキセントリックな言い方になりますが誤解を恐れずにいうと、クールビズにおいては「特段の理由がない限り白シャツより柄シャツを使う」ことがポイントです。
よほど全身のコーディネートに気を配らない限り、単なる白シャツだと「ジャケットを着ていない」ということを強調してしまい、素敵に見せることが難しくなります。
もちろん、TPOに応じて白シャツが必要な時もあります。(私もクールビズ専用の白シャツを持っています)
けれども、ジャケット無しであれば柄シャツを使ってあげたほうが、間延びした印象とならないため、着こなしの難易度は簡単です。
もし、職場の環境によって柄シャツが使えない場合でも、なるべくなら単なる白シャツではなく以前の記事でもご紹介した「淡いブルー無地のシャツ」を使うほうが難易度は低くなります。(そもそもクールビズで柄シャツすら使えないようなドレスコードを求める企業風土はどうかと思いますが。未だにただ単にジャケットを脱いだだけの企業も多いですし、そういった日本企業全体の着こなしに対する習熟度が上がることを願っています)
「洗練感」を意識したクールビズがポイント
これまでのことを言い換えるなら、「洗練感」を出すのがシャツ選びには大切になります。
要するに、「ただ単にジャケットを脱いだ着こなし」ではなく「ビジネスカジュアルを理解した着こなし」だと感じさせることが重要です。
この「洗練感」がスーツスタイルとは違うドレスダウンしたクールビズにおいて「清潔感」や「こなれ感」を生み出すことにつながってきます。
「清潔感」というのはTPOに対して「整っている」と感じさせることなので。
この点を理解していないと、なかなか半袖姿が洗練されて見えないため、着こなしが難しいのではないでしょうか。
ギンガムチェックはクールビズに有用性が高い
クールビズにおける半袖柄シャツのおすすめは「ギンガムチェック」です。
ビジネス用の柄シャツといえば「ストライプ」が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか?
ストライプでも問題はありませんけれども、「半袖シャツに限っていえばギンガムチェックのほうがバランスが良い」と思います。
もしストライプを選ぶ場合は、細かいストライプが使いやすいです。
ギンガムチェックを選ぶポイントは、
- 大きめの柄ではなく細かい柄を選ぶ
- 白地にブルー系のチェックを選ぶ
という点になります。
クレリック仕様もクールビズを素敵に見せやすい
もう1つクールビズ用のシャツを素敵に見せやすいポイントとなるのが「クレリック」です。
ホワイトの差し色が入ることによって、コントラストがついて洗練されて見えやすいんですよね。
他にも、クレリック仕様は「見た目の爽やかさ」だけに注目しがちですが、ネクタイを着用する方にとってはコーディネート的に便利な特徴もあります。
それは、「ネクタイの合わせやすさが広がる」という点です。
通常、襟まで柄が続いているシャツであれば「ネクタイの色・柄」と「シャツ襟の色・柄」の相性を考えてコーディネートを組み立てなければいけません。
一方、クレリック仕様の場合では「襟は白のため、様々なネクタイと合わせやすくなる」のがメリットです。
できれば襟の大きさにも気を配る
あまり意識している方はいないですが、クールビズを洗練された印象にするためには、実は「襟の大きさ」にも注目すべきです。
スーツスタイルであれば、ワイドカラーのシャツの襟先がジャケットの下に隠れます。(ちなみに、ジャケットの下に襟先が隠れない「レギュラーカラー」の襟型を選ぶのはNGです。日本では何故か「レギュラーカラーが最もスタンダードな襟型」という誤解が広がっていますけれども、ビジネスシーンにおいてこれは正しくありません)
しかしながら、クールビズではジャケットを着用しないため、シャツの襟先が出たままになってしまいます。
そこで、ジャケット着用時と同じような襟のシャツを選んでしまうと「襟の大きさ」が悪目立ちしてしまい、アンバランスに見えてしまうのが問題です。
したがって、襟型は通常と同じような「ワイドカラー」であっても、少し小さめの襟を選ぶとバランスが良いでしょう。(厳密にいうと、「台襟の高さ」にも気を配りたいところなんですが、ここまで求めると完全にオーダーメイドしか選択肢がなくなってしまうので割愛します)
具体的には、襟の長さが若干短めのものがおすすめです。
ミリ単位の違いは小さな違いに思えるかもしれませんが、顔周りに位置する襟は人に与える印象が非常に変わるので、余裕があればぜひ気を配ってみてください。
ギンガムチェックのクレリック仕様半袖シャツ
夏用のアイテムとして、私もクールビズ用の半袖シャツを所有しています。
https://www.instagram.com/p/Byb7ioaFqyO/
ギンガムチェックの柄でクレリック仕様の半袖シャツです。
私は仕立てにこだわりたかったのでオーダーメイドしたものになります。(襟型はワイドカラーで、襟の長さと台襟の高さを若干短めに仕立てています)
2枚ともほぼ同じように見えますが、若干ギンガムチェックの間隔が違い、上質なインポート生地で仕立ててみました。
袖は「ターンバック」と呼ばれる「袖口の折返し」がある仕立てです。
これが有るのと無いのとでは、見た目の印象が全く異なってくるので、ビジネス用半袖シャツであればターンバックしか私は持っていません。
そして、これは完全に個人的な好みなんですけれども、「胸ポケット付き」のシャツにしてみました。
長袖シャツであれば「胸ポケット無し」にすることがおすすめですが、半袖シャツであればポケットがあったほうがバランスが良いように私は感じるためです。(半袖シャツに胸ポケットをつけるブランドも多いですよね?ポケットがあることにより「あえて感」が出ますけれども、それと同じ感覚です。実際に胸ポケットに物を入れて使うことはありません)
ワイドカラーなので、ノーネクタイのままでも程よい襟の開きがあります。
ネクタイをしめた場合でも、ギンガムチェック自体が優秀な柄ですしクレリック仕様のため、合わせるネクタイの幅が広いです。
ネイビーニットタイを合わせてあげると、「こなれ感」が出やすく素敵だと思います。
ギンガムチェックのブルーにニットタイのネイビーがトーンオントーンで重なり、クレリックのホワイトがコントラストをつけてくれて、夏らしく非常に爽やかです。
実際にクールビズのコーディネートを組んでみました。
ビジネスカジュアルらしいリラックス感や軽快感がありつつ洗練された印象を与えますね。
私は毎年この仕様・仕立てのシャツを重宝しているので、これからもまたクールビズで活躍してくれるアイテムだと期待しています。
洗練されたアイテムでクールビズを素敵に見せよう!
年々暑さが増しているように感じる日本の夏には半袖シャツは外せませんよね。
「半袖シャツはダサいからダメだ!」と主張している方は、「半袖シャツを使ってどうしたら素敵に見える着こなしとなるのか、考えることを放棄している」ということなのだと私は思います。
人間には知恵があり、物事を工夫する力を持っているはずです。
見た目と機能性を両立させた着こなしで、夏のクールビズを楽しみましょう!
ぜひ参考にしてみてくださいね!