カジュアルファッション

【M47と比較】AUBERGE SUVIN47レビュー!フランス軍名作カーゴパンツを現代的アップデートしたアイテム!

2021年10月19日

こんにちは。

ファッションアナリストの七理悠介です。

 

新進気鋭の人気ブランド「AUBERGE(オーベルジュ)」が、今シーズンに「究極のチノパン」を作るというコンセプトで新作を発表しました。

このコンセプトで誕生した通称「SUVINウエポンパンツシリーズ」がとてもクオリティが高く、市場でも人気を集めています。

SUVINウエポンパンツシリーズはどれも素晴らしいんですけれども、その中でも特に注目を集めたものが今シーズンの「目玉アイテム」です。

私も実際に購入し、愛用しているのでご紹介します。

 

M47をスヴィン生地で現代的アップデートさせた「SUVIN47」

私が今季購入したAUBERGEの新作アイテムが「SUVIN(スヴィン)47」です。

AUBERGE SUVIN47

フランス軍の名作ミリタリーカーゴパンツである「M47」を踏襲したデザインのアイテムになります。

「2021シーズンの新作としてリリースされる」というデザイナーによる制作アナウンスを受けて、購入希望者が殺到したため、第一弾の生産では全国のショップでも早々にほぼ完売状態でした。

しかも、一般には知られていないことですが、ただでさえ人気が集中していたにも関わらず、生地生産の段階で事故が起こり、減産となってしまったこともあって、さらに需要と供給のバランスが崩れてしまいましたね。

それゆえに、「狙っていたけど、なかなか手に入らなかった」という方も多かったのではないでしょうか。

ところが、最近になって第二弾の追加生産がされており、入手できるようになっています。

AUBERGEのデザイナーの小林さんは「SUVIN47は定番アイテムとする」といった趣旨の発言をされているので、今後も継続して販売されるのかもしれません。

 

ウェストポイント規格にスヴィン100%をのせた生地

AUBERGEが今シーズンの新作を作るにあたって、デザイナーの小林さんが「究極のチノパンを作る」というコンセプトを掲げていました。

これにより制作されたのがSUVINウエポンパンツシリーズになります。

SUVINウエポンパンツシリーズには全て、AUBERGEが独自に開発した「究極のチノパン生地」が使われているのが特徴です。

 

元々チノパンには、「ウェストポイント」といわれている「アメリカ陸軍士官学校」の制服用の生地というものがあります。

それは、「密度」「太さ」などが厳格に決まった「これ以上の綿織物はない」という規格です。

この規格に、希少で高級な超長綿である「スヴィン」を、縦糸にも横糸にも贅沢にのせたのがオーベルジュのチノパン生地になります。

スヴィンの糸が本来持つ「上品な光沢感」が、生地の上質さを表していて印象的ですね。

 

それに、着心地の面でもスヴィンを採用したメリットがあります。

スヴィンには「油分が多い」ということもあり、「しっとりとした滑らかな肌触り」をもたらすのが魅力です。

したがって、「肌触りが良い」というのは、大人が着る上質な洋服として、とてもポイントが高いといえますよね。

 

究極のチノパンの生地制作を担当している、50年以上のキャリアのある綿織物工場の職人が「今まで作った生地の中で最高傑作」という生地になります。

つまり、「生地は縦横スヴィンで、ウェストポイント規格というものを完全な状態で作った」というのが、このチノパン生地最大の魅力です。

小林さん曰く、今シーズンのアイテムの中でも「1番気合が入りまくっていた」というくらい、まさに究極のチノパン生地といえるものではないでしょうか。

 

この究極のチノパン生地を使って作られたアイテムの1つに「LV CHINOS」があります。

【究極のチノパン】AUBERGE LV CHINOSをレビュー!ヴィンテージリーバイスをベースとしたSUVIN100%チノ!

 

究極のチノパン生地を「ヘリンボーン織り」にして制作した

「LV CHINOS」の生地に使われている「ウェポン」と同じ規格で、それを「ヘリンボーン織り」にして作ったのが「SUVIN47」です。

生地を近くで見てみると、ヘリンボーン織りが美しい。

AUBERGE SUVIN47 ヘリンボーン織り生地

光沢感がありラグジュアリーな印象を受けます。

 

肌触りも独特で、糸の中の油分が強いのでモチッとした感触です。

デザイナーの小林さんは「形状記憶的な”グニュッ”と触ると、そのまま形が残るような感じ。だから、いわゆるスヴィンのサラサラとかドレープとか、そういうレベルではない」と言われており、正直「コットンでそんなことあるのだろうか」と疑っていましたが、実物を見て本当だったことに大変驚きました。

小林さんが「(生地の)打ち込みが限界超えなので、しっかり感・柔らかさ・ピーチ感など、ありとあらゆる”気持ち良さ”が凝縮されたような生地」と言われているのも納得です。

 

「M47後期型」を踏襲したシルエット・ディテール

SUVIN47はフランス軍のカーゴパンツ「M47」「後期型」を踏襲した作りになります。

 

シルエット

M47後期型の特徴らしく、「裾が少しテーパード気味」のシルエットです。

AUBERGE SUVIN47 正面

AUBERGE SUVIN47 背面

 

トップボタン

後期型と判別できるディテール「トップボタン1つ」

AUBERGE SUVIN47 トップボタン

AUBERGE SUVIN47 トップボタン アップ

ただし、オリジナルのM47が「暗い色のボタン」を使用しているのとは異なり、SUVIN47には「明るいベージュ」のボタンが使われています。

 

ボタンフライ

この明るいベージュ色のボタンは、トップボタンだけでなく、ボタンフライ部分を含むSUVIN47の全てのボタンに採用。

AUBERGE SUVIN47 ボタンフライ

結構インパクトのある特徴的なボタンの色だと感じます。

 

ブランドロゴ

ウエスト部分の内側にブランドロゴを配置。

AUBERGE SUVIN47 ブランドロゴ

AUBERGEらしく、なんとなくロゴからもフレンチ感の印象を受けますね。

 

フロントポケット

フロントポケット部分は、手間のかかる「両玉縁ポケット」です。

AUBERGE SUVIN47 フロントポケット

綺麗に仕上げられており、縫製の丁寧さが伝わります。

 

カーゴポケット

カーゴパンツを特徴づける「カーゴポケット」部分。

AUBERGE SUVIN47 カーゴポケット

AUBERGE SUVIN47 カーゴポケット アップ

M47と同様にカーゴポケットが「2重フラップ」になっているのも再現されています。

AUBERGE SUVIN47 カーゴポケット 2重フラップ

AUBERGE SUVIN47 カーゴポケット 2重フラップ ボタン部分

この2重フラップは、M47を語る上では外せないディテールですよね。

わざわざ2重フラップにするのは、「戦場でボタンが引っかかって外れないようにする」といったメリットがあります。

 

カーゴポケット側面・底面の「マチ」があるのも再現。

AUBERGE SUVIN47 カーゴポケット 側面のマチ

AUBERGE SUVIN47 カーゴポケット 底面のマチ

こうしたディテールの再現は嬉しいですね。

 

余談ですが、M47ってカーゴポケットの内側の縫製で、糸が半端じゃなく飛び出ているんですけれども、SUVIN47でも同じように処理されず飛び出ていて笑いました。

AUBERGE SUVIN47 カーゴポケット 内部の糸の処理

もし、これが「工場での生産で勝手にそうなる」だけの理由ではなく、「意図的に再現している」のだとしたら、ディテールへのこだわりが凄すぎます。

「いや、AUBERGEなら有り得るかも…」と思わせられるから、このブランドは面白い……

 

裾部分のストラップとボタン

M47の特徴的なディテールである「裾部分のストラップとボタン」も当然再現されています。

AUBERGE SUVIN47 裾部分

AUBERGE SUVIN47 裾部分 ストラップとボタン

このストラップとボタンがある仕様のおかげで、パッと見て「M47を履いているな」と分かるわけですが、SUVIN47は前述の通りボタンが「明るいベージュ」であるため、良くも悪くも結構目立ちますね。

個人的には、オリジナルのM47と同じく、暗めのボタンで目立たない仕様にして欲しかったような気もします。

 

裏面の仕様

SUVIN47で関心したのは、外側だけではなく、ひっくり返して「裏面」を見た時です。

AUBERGE SUVIN47 裏面

オリジナルのM47の裏面をしっかりと再現しています。

配色が同じだけでなく、「縫製の始末」まで再現。

特に「ポケットの布地」は再現度が高いと個人的には感じます。

AUBERGE SUVIN47 ポケット布地

M47独特の「少しザラついた感じ」も上手く表現されているのではないでしょうか。(状態が悪い古着のM47だと、ここがよく破れているんですよね)

 

生地への負担が強くかかるため施されている「股部分の補強」もM47同様です。

AUBERGE SUVIN47 股部分の補強

スヴィン100%の生地なので、肌触りは抜群に良く、一度履くと魅了されます。

 

「M47」と「SUVIN47」でディテールの違いがある「バックポケット」

個人的に、最も不思議に感じて謎だったのが「バックポケット」です。

AUBERGE SUVIN47 バックポケット

フラップを下げている状態では分からないのですが、上げてみると違和感を受けました。

AUBERGE SUVIN47 バックポケット 2重フラップ

カーゴポケット同様に「2重フラップ」になっているんですけれども、オリジナルのM47はボタンを止める内側のフラップが「外側のフラップに繋がっていない」のが仕様です。

しかし、SUVIN47は内側のフラップが「外側のフラップと繋がって縫製されている」という仕様になります。

AUBERGE SUVIN47 バックポケット 「2重フラップが繋がって縫われている」

この仕様が、私にとっては最大の謎です。

デザイナーの小林さんは、古着への研究・再現を徹底的にされる方なのに、これは一体何故なのでしょうか。

「温故知新」を大切にする小林さんのことだから、このバックポケットのフラップのディテールは、当然承知の上で作られているはずです。

それゆえに、「あえて仕様を変えている」のは間違いないと思うのですが、どういう理由があるのでしょうね。

私の知る限り、少なくともM47後期型では、そうしたディテールは無かったと認識していますけれども、最初期型などのレアな個体では、同様のディテールが存在しているのかもしれません。

 

「M47」と「SUVIN47」のサイズ感を比較

見た目やシルエット・サイズ感などを分かりやすいように、「M47」と「SUVIN47」を比較。

 

フランス軍オリジナルの「M47」。

M47

こちらはサイズが最小の「11」で、「ウエスト79cm」「渡り幅31cm」「股下68cm」「裾幅23cm」です。

フランス軍のサイズ表記って独特ですよね。

左の数字が「レングス」、右の数字が「ウエスト」です。

 

対してAUBERGEの「SUVIN47」。

SUVIN47

こちらもサイズが最小の「38」で、「ウエスト77cm」「渡り幅35.5cm」「股下73cm」「裾幅20.5cm」です。

 

こうして比較してみると、意外とサイズ感が違うことが分かります。

当然M47の方は、これまで何度も洗濯を繰り返してきたことで、縮みが出ていることもありますが、それを差し引いたとしても、各部のサイズの違いは大きいです。

多くの日本人の体型に合ったM47の「11サイズ」は非常に人気なので、AUBERGEも最小サイズの「38サイズ」は、「オリジナルのM47に合わせて、もう少し小さめが良かったのでは?」と感じます。

 

とはいえ、M47って手作業によるところが大きいため、同じサイズ表記の物でも個体差がかなりあるアイテムです。

私が今まで見てきた中でも、「これってサイズ表記が違うのでは?」と感じる程、サイズ感の異なるM47が頻繁にあるので、あまり当てになりません。

だからこそ、古着に限らず、洋服選びで大切なのは「実寸」です。

そのため、私は「採寸メジャー」が手放せません。

採寸メジャーの定番!ヘキストマスは服や体のサイズ測りにおすすめ!【大人の名品・定番品 Vol.8】

もしかしたら、AUBERGEが参考にしたM47は、サイズ感の大きな個体だったのかもしれませんね。

 

M47・SUVIN47の裾上げの料金・注意点

M47と比較してサイズ感が結構異なるSUVIN47ですけれども、特に問題となるのが「股下」ですね。(私の足が短いだけですが)

裾の長さが余ってしまうのであれば、そのまま裾を「ロールアップ」して履いてしまうのも1つの手です。

ファッション業界にもM47をロールアップして履いている方が少なくありません。

 

しかしながら、「せっかくならロールアップせずに、すっきりとしたシルエットで履きたい」と考える方もいるはずです。

このため、「裾上げ」を行おうとするわけですが、M47と共通してSUVIN47にも注意が必要なことがあります。

それは「裾部分のストラップとボタン」です。

AUBERGE SUVIN47 裾部分

AUBERGE SUVIN47 裾部分 ストラップとボタン

裾上げを行うことにより、「裾部分のストラップとボタンが無くなってしまう」という問題が起きてしまいます。

M47を裾上げして履かれている方にも、ストラップとボタンが欠損してしまっているケースを見かけますよね。

特徴的なM47のディテールであるストラップとボタンは、やはり残したほうが好ましいと個人的には感じるので、裾上げを行う場合には「裾部分のストラップとボタンを移植してもらう」ことが良いのではないでしょうか。

その際には、お直し屋さんに「裾部分のストラップとボタンを元々と同じ位置でつけてください」と頼むとやってくれます。

 

しかし、結構料金がかかるんですよね、M47タイプのカーゴパンツの裾上げって。

お直し屋さんによって多少変動はありますけれども、裾上げそのものは「1000円」くらいです。

ストラップの移植は「1500円〜2000円」、ボタンの移植は「1000円」くらいになります。

 

さらに加えて、ここからさらに「追加料金」がかかるんですよね。

それはM47には「サイドのステッチが入っている」からです。

この「サイドステッチを解いてから縫い直さないといけない」という手間がかかるため、料金がさらに加わります。

ステッチの料金は、だいたい「1000円」くらいだと思います。

ところが、M47と同じくSUVIN47も「サイドのステッチが2本入っている」から「料金は2本分で2倍」です。(お店によっては追加料金取られない場合もありますが)

 

したがって、全て合計すると「4000円〜6000円」くらいの料金が裾上げにはかかります。

「結構金食い虫だな」と思わせられますが、名作パンツゆえ仕方ないと割り切る他ありません。

 

様々なコーディネートで活躍する「SUVIN47」

ファッション好きに支持されるフランス軍の名作カーゴパンツM47。

サイズが小さめのものや、状態が良いものは、古着相場の価格が最近では跳ね上がり続けています。

せっかく同じ金額を出すのであれば、極上の生地でアップデートされ、新たに作られたSUVIN47を楽しんでみるというのも、候補の1つとして入れてみても面白いのではないでしょうか。

 

ワードローブに揃えていると、様々なコーディネートで大活躍します。

カーゴパンツに相性が良くて、特におすすめなのは「ネイビーブレザー」と合わせるコーディネート。

AUBERGE SUVIN47 ネイビーブレザーとコーディネート

この組み合わせは、海外のスナップでも良く見かける鉄板の着こなしですよね。

 

カジュアルなジャケットと合わせるのも、個人的には好きなコーディネートです。

AUBERGE SUVIN47 カジュアルジャケットとコーディネート

大人の休日のリラックス感が感じ取れて素敵だと思います。

 

M47に限らず、カーゴパンツはコーディネートに便利なアイテムなので、お気に入りのものをワードローブに揃えておくのがおすすめです。

ちなみに、AUBERGEがBEAMSとコラボしたM47カーゴパンツも非常に素敵で迷いました。

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AUBERGEのSUVIN47と形は全く同じで、スヴィンとは異なる超長綿を使用したヘリンボーン生地を使用しており、使い込まれた古着感が感じられる見た目になっています。

そのうえ、SUVIN47と比較してリーズナブルな価格というのも非常に魅力的なので、良かったらこちらもチェックしてみて欲しいです。

 

ぜひ参考にしてみてくださいね!

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